夏、オトナも読みたい夏の好奇心を育てる絵本・児童書をご紹介

夏、オトナも読みたい夏の好奇心を育てる絵本・児童書をご紹介

お子さんとのお家でのコミュニケーションやゆっくりする時間はやはり重要。そこでぜひ活用していほしいのが本です。今回は、夏の冒険心をテーマに、お子さんの好奇心を刺激する、大人も楽しく読める絵本・児童書を厳選してご紹介します。一緒に読んで、感想を言い合うなど、素敵な親子コミュニケーションを!

選者は、まなびwith国語の問題作成者、佐藤友樹先生。まなびwithの小学生コースの国語は、読解問題が充実しており、6年間で取り上げる作品数は、学校の教科書平均の4.2倍。たくさんの作品にふれることができます。こちらもぜひチェックしてみてください。

dokkai.jpg

 

小さなお子さんをも引き込む魅力的な絵の世界

nbook3.jpg
『ビロードのうさぎ』

マージェリイ・W・ビアンコ/原作 酒井駒子/絵・抄訳 (ブロンズ新社)

対象:幼児から大人まで

一度見ただけで、一生忘れられないような絵というものがあるものです。酒井駒子さんは、心にいつまでも残る絵を描く絵本作家の一人です。

本作品の主人公は、幼い子どもの遊び友だちとして、いつも一緒にいたビロードのうさぎ。愛されながらも、子どもの成長とともに古びて、いつしかその存在も忘れられてしまいます。捨てられてしまうビロードのうさぎがふたたび生命を得てゆく幻想的なストーリーが、切なく美しい絵で描かれています。「出会えてよかった」と思える絵本です。 

【作者】酒井駒子(1966~ )兵庫県生まれ。東京芸術大学美術学部油絵科卒業。現代日本を代表する絵本作家。黒を下地にした印象的な画風で、幼い子供や動物の絵で人気を博し、日本だけでなく海外でも高い評価を得ています。他にお薦めしたい作品として、『よるくま』『金曜日の砂糖ちゃん』『ゆきがやんだら』など。

 

本で旅に出かけよう。永遠に残したい里山列車の絵本

nbook4.jpg
「出発進行!里山トロッコ列車」

かこ さとし/作・絵(偕成社) 

対象:低学年から大人まで

千葉県五井駅から養老渓谷まで続く小湊鐵道の一部区間を走るトロッコ列車。

窓ガラスのない吹きぬけの列車は、風を感じながら里山をゆっくり進んでいきます。ガイドは知識をいっぱい蓄えたかこさとし先生です。

沿線で見つけた植物、動物、人々のくらし、町の歴史など、ページをめくるたびに語りかけてくれます。自然と人間が時間をかけて一体化していった里山は、懐かしい日本の風景であり、失ってはいけない大切な場所。ゆっくりページをめくりながら見どころいっぱいのトロッコ列車の旅を楽しんでください。

この絵本を手にして、実際に里山列車でこの沿線を旅するのもいいですね。

【作者】かこさとし(1926-2018)福井県生まれ。絵本作家・児童文学者、工学博士。大人気「からすのパンやさん」をはじめ、絵本は600冊以上も世に送り出しています。科学的な知識をふまえた児童の知育に対する貢献は測りしれません。自叙伝「未来のだるまちゃんへ」などもお薦めしたい本です。 

 

<まなびwith 国語の特長はこちら>

 

物語の天才ダールの本領に触れて、物語の醍醐味を体感。

nbook1.jpg
「ぼくのつくった魔法のくすり」

ロアルド・ダール/作 宮下嶺夫/訳(評論社)

対象:中学年から大人まで

映画化された「チョコレート工場のひみつ」の作者として有名なロアルド・ダールには、奇抜な着想の面白い作品がいっぱいあります。

この作品は、とても意地悪なおばあさんをこらしめるために、孫のジョージがとんでもない薬を作り出して大さわぎになってしまう物語です。薬を作り出す過程もめちゃくちゃなら、その薬の効き目もとんでもない。

奇想天外な出来事の連続がとにかく面白くて、読み始めたら最後までとまりません。本の世界は楽しいと思わせてくれる作品です。

【作者】ロアルド・ダール(1916-1990)イギリスの作家。ブラックユーモアに満ちた短編小説や、児童文学で世界的に有名。日本では『チョコレート工場のひみつ』をはじめとした児童文学作品集(ロアルド・ダールコレクション)が刊行され、人気を得ています。『おばけ 桃が行く』『マチルダは小さな大天才』などもお薦めします。

 

<まなびwith 国語の特長はこちら>

  

飛び出してくる名作の主人公たち。彼らが知りたいのは・・・?

nbook2.jpg
「つづきの図書館」

柏葉幸子/作 山本容子/絵 (講談社)

対象:高学年から大人まで

物語の設定が面白いです。読者が本の主人公の「つづき」が知りたいと思うことはよくありますが、この作品では、本の登場人物の方が、本を読んでくれた人の「つづき」を知りたがるのです。

第一章で、図書館の本から飛び出てきた「はだかの王様」は、手術を待つ病院のベッドで本を読んでくれていた女の子の「つづき」が知りたいと言い、図書館司書にまとわりついてひと騒動を起こします。さらに、次から次へと飛び出してくる名作の主人公たち……。話の結末もすてきです。第59回小学館児童出版文化賞受賞作品。

【作者】柏葉幸子(1953~ )岩手県生まれ。児童文学作家。東北薬科大学(現:東北医科薬科大学)在学中の1974年に書いた作品が第15回講談社児童文学新人賞に入選(『霧のむこうのふしぎな町』)してデビュー。『ミラクル・ファミリー』『モンスター・ホテル』など人気作品シリーズを書き続けています。

 

<まなびwith 国語の特長はこちら>

  

一生ものの、読解力を育てよう!

いかがでしたでしょうか。ぜひご家族で楽しく読んでみてくださいね!

読解力を育てるまなびwith。読解の詳しいカリキュラムはこちらで紹介しています。ぜひこちらもチェックしてみてください。

dokkai.jpg

※こちらの記事は、マナビコの前身となる「作文力.com」で2018年に8月に公開した記事を、一部修正・加筆して公開しています。

> 子育てを考える > 夏、オトナも読みたい夏の好奇心を育てる絵本・児童書をご紹介

著者プロフィール

著者アイコン
佐藤友樹
小学館の通信教育「名探偵コナンゼミ」の作問者。予備校講師、受験塾講師などを経て、国語問題の作成および分析のプロとして活躍。言葉への造詣が深く、愛情をもった指導に定評がある。著書に、ドラえもん学習シリーズ『ドラえもん国語おもしろ攻略 百人一首を楽しもう』『ドラえもん国語おもしろ攻略 敬語早わかり』(ともに小学館)など多数。

関連記事