いろんな視点を持つことで、自分にとっての「これしかない」を続けることができた。/格闘家【RENAさん】〜インタビュー企画「叶えるちから、伝えるちから」〜

いろんな視点を持つことで、自分にとっての「これしかない」を続けることができた。/格闘家【RENAさん】〜インタビュー企画「叶えるちから、伝えるちから」〜

各分野で活躍している方の子ども時代からの話を聞きながら、目標実現の原動力や自己の発信力のヒントを得るインタビュー企画「叶えるちから、伝えるちから」

今回は、女子格闘技の代表格、シュートボクサーで総合格闘家のRENAさんにお話を聞きました。

  

  

「自分が前に出るより内に想いを秘めている子」が、ゆずれないものを見つけた瞬間。

―小3から学校に行かなくなったんですよ。小6くらいからはちらほら行くようになったんですが。

 

それは、圧倒的な強さを誇りながら明るい笑顔が印象的な「女子格闘家 RENA」のイメージからは想像できないような言葉だった。彼女にシュートボクシングを始めたきっかけを訊ねたときのことだ。

  

―四人姉妹の末っ子なんですが、やんちゃな姉たちとは逆に、思ったことは内に秘めるタイプで泣き虫。喧嘩ではやられっぱなしでした。シュートボクシングを始めたのは、彼女たちに本気で勝ちたくて(笑)。町の空手道場とかも見学に行ったんですが、寸止めじゃ勝てないなと。

12歳のとき、近所に出来たジムの看板を見て、体験に行ってみたら実践向きだし、何よりすごく楽しくて。母には「ジムに通う前に学校に行け!」と反対されたんですが、でも、どうしても譲れなかったんです。

   

3ヶ月の嘆願の後、「ここまで自分から主張するのはめずらしい」と母親も折れ、学校に行くという約束でキッズクラスに週2で通い始めた。

 

 

見つけた居場所で、気持ちが少しずつ外へと向いていった。

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通い出したのは、シュートボクシングの元・日本王者が主宰するシュートボクシングのオフィシャルジムそこは当時の彼女にとって大きな意味があった。

 

―ジムに行くと代表に「今日学校いったんか?」と聞かれたり、とにかく気にかけてもらっていましたね。そのうち「今日学校行った!」と自分から報告するようになって、逆に行ってない日はコソコソして、行かへんかったら頭グリグリされたり。

キッズクラスは週2でしたが、中学になると月〜土でやっている大人のクラスにも来ていいよ、と言われ、学校に行かなくてもジムには絶対に行っていました。当時の居場所でしたね。

   

単に居場所を見つけただけではない。引きこもっている期間は人とも会うことがなく感情的になることもない彼女だったが、シュートボクシングを始めたことでいろいろな想いが生まれていったという。

   

―先生が「なんでもいいからパンチでもキックでもしておいで」って言うんですけど、全然当たらなくて。まずそれが悔しいんですよ。で、ちょっとかすってみると、めちゃくちゃ嬉しい。そのうち「おっ!」と言わせたい、という気持ちが出てきたり。どんどん人間らしくなっていった感じはあるんじゃないかなとは思います。

  

  

苦境を乗り越えていく根底にある「これしかない」という気持ち。

中3にもなると、中学生レベルでは敵なし、大人の女性と試合をしても勝てるように。プロの道が見えつつも、身近でプロとして活躍している先生や兄弟子の追い込み方を目の当たりにすると決断はしきれなかった。それでも、「辞めてもいいんだからやってみなよ」という周りの後押しもあり16歳でプロの世界へ。「今の私にはこれしかないしなぁ」と、わりと軽めの気持ちだったという。

  

―でもデビュー戦、負けちゃうんですよ。アマチュアでも1回しか負けたことがなかったから「勝てるわぁ」と思ってたのに(笑)。そこで初めてプロとは厳しいものだなと思って、そこからですね。2連続で負けたら辞めるという気持ちで練習に向き合いました。

 

その4ヶ月後に迎えたプロ2戦目で3−0の判定勝ち。プロの道を進んでいくことになる。2009年に、連勝街道を突き進むRENAを主役に据えた女子だけのシュートボクシング日本トーナメント「Girls S-cup」で見事初代チャンピオンとなり“ツヨカワクイーン”として注目を集めると、翌年から開催された「Girls S-cup世界トーナメント」で4連覇を達成。2015年にシュートボクシング女子世界フライ級王者となったタイミングで、RIZINからの熱烈オファーを受けて総合格闘技にも初チャレンジ。総合格闘家としても大躍進を遂げ、女子格闘技の絶対女王と称されるまでになった。

  

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小さい頃は辛いときも「楽しいから続けられた」という格闘技も、プロになれば苦境のグレードも上がる。彼女は一体どうやってそれらを乗り越えてきたのか。

  

―立ち行かないときは、思い切っていったん離れてみることも大事だなと思えるようになりました。例えば、1ヶ月練習せずに暮らしてみると、ぽっかり穴があいた気がして、やっぱりこれしかない、と感じて結局また前を向けるというか。 

あとは、視点を変えるだけで、格闘技のまた違う楽しさが見える。ジムのキッズたちに教えるとかでもいいんですよ。その時々で視点を変えて、これまでと違う格闘技との関わり方みたいなことを考えたり。そうすると、もともとある「私にはこれしかない」「格闘技が好き」という気持ちが浮かんでくるんです。

  

「これしかない」「これしか本気でやってきていない」「これでしか生きていけない」―どれも彼女がインタビュー中に何度か口にした言葉だ。自分にとって唯一の何かに出会えて、続けることができて、突き詰めることができ、そしてそれを今も楽しめていられることが、自分の最大の強みなのだと言う。

  

   

「自然体で自分らしく」「楽しんだもん勝ち」。表現することも格闘技を通して得られたスキルのひとつ。

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「ツヨカワクイーン」とも称される彼女。エンタメ性の強い格闘技という業界で、その自然体で柔軟な自己表現のあり方も人気の秘密のように思える。

 

―もともと引っ込み思案なので、写真も嫌い、自撮りなんてもう無理!と思っているほど自己表現は苦手だったんですけど、こういうメディア活動とかをさせていただいて、いろんなメイクや服装、髪型をしてみると、それが楽しくなって。「楽しんだもん勝ち」と思えるようになりました。

  

SNSなどでもファンやそれ以外の人たちの目に触れることが多い昨今。プロの格闘家として手に届かないほどの強さ・存在感を放つ一方で、SNSでは彼女を身近に感じさせる人懐っこさがある。どちらも、彼女のありのままの姿。

  

―特別に自分を演出するようなことはしていないです。いい子ちゃんでいても、10人中10人に好かれることはないですから。なにか心がけていることがあるとすれば、「作らず自分らしくいること」ですね。

  

 

  

まずは選手として、今できることを。

16歳のプロデビューから2022年で15年になる。注目の今後の展望を尋ねると、明るい笑顔で答えてくれた。

 

―MMA(総合格闘技)を始めて6年が過ぎて、ようやく形になり始めている実感があります。ワンランク上に上がって、海外にもまた挑戦したいという気持ちです。これからも長く格闘技に関わりたいという想いもありつつ、まずは選手としての今を集中的に頑張ってその後の人生をいいものにしたいですね。

   

 

RENAさんプロフィール

女子シュートボクサー、総合格闘家。1991年生まれ、大阪府大阪市此花区出身。シュートボクシング/シーザージム所属。現SB世界女子フライ級王者。

シュートボクシングの女子トーナメント「Girls S-cup」優勝4回。シュートボクシング戦績は42試合36勝5敗。総合格闘技は2015年末のRIZINから。戦績は16試合12勝4敗(2022年3月現在)。女子格闘技の絶対女王としてシーンを牽引する存在に。

Twitter:@SB_RENA https://twitter.com/sb_rena/

Instagram:@sb_rena https://instagram.com/sb_rena/

 

 

シーザージムについて

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シュートボクシングの総本部。プロやアマチュア選手の育成だけではなく、シュートボクシングの動きを取り入れたダイエットや体力作りを目的としたクラス、小学生の丈夫な体と礼節を養うキッズクラスも。所属するプロ選手は、現SB世界女子フライ級王者・RENAや現SB日本スーパーフェザー級王者・笠原弘希、元SB日本スーパーフェザー級王者・村田聖明など多数。

シーザージム公式HPはこちら>> https://shootboxing.org/c-gym/

 

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