【陰山英男先生に聞く】子どもを勉強嫌いにさせてしまう親の特徴とは?

【陰山英男先生に聞く】子どもを勉強嫌いにさせてしまう親の特徴とは?

2020年、大学入試が変わる。この改革により、高校はもちろん、小中学校や家庭においても、学習する内容や取り組み方が大きく変化することは間違いない。

しかし、具体的に家庭では、子どもたちのために何をしてあげるべきなのか?

今回は、子どもたちの学力向上を実現してきた隂山英男先生に、小学校世代の子どもに親がしてあげるべきこと・してはいけないことをお聞きした。

幼児期の早期教育は、より慎重に行うことが大切!

2020年の大学入試改革に伴い、学校での教育は現在にも増して高度化されていくと考えられる。しかし授業時間数は変わらないため、学校だけで子どもの教育が高度化できるのかどうかは疑問が残るところだ。

そこでより大切になってくるのが家庭での学習。

隂山氏は「今後、教育の早期化は止められない」としたうえで、幼児期の早期教育の注意点について、次のように語った。

「早期教育で最も注意すべきことは、幼稚園くらいの子どものストライクゾーンが非常に狭いということ。親は、ついつい能力に合わない難しいことをやらせてしまいがちです。すると子どもは理由も分からず『とにかく勉強が嫌い!』という感情だけをアウトプットしてしまいます」

確かに子どもは急成長を遂げる時期で、ストライクゾーンにビシッと入った場合はびっくりするような成長が見られる。反面、これを外しているにもかかわらず勉強を強要してしまったら、「勉強嫌い」という悲劇的な結果に陥ってしまうのだと言う。

子どもを「勉強嫌い」にさせないためにすべきことは?

子どもが「勉強嫌い」にならないように、親がすべきことは何か。

陰山氏は「勉強して楽しいと思わせたら良いのです。嫌がることを、無理やりやらせるのは禁物」と答える。その方法論はどのようなものなのだろうか?

楽しく勉強することを教えるということは、教育の専門家である先生、ましてや親では難しいものだと思われる。

「勉強らしくないことでも良いのです。スポーツでもアウトドアでも、五感をフルに働かせて子どもが楽しいと感じるものであれば、それは実は全部勉強なのです。ノーベル賞受賞者は必ずと言って良いほど、子どもの頃の自然体験が重要だと言います」

すると、子どもが「嫌だ」と言ったら、やめさせた方がいいのだろうか?

「子どもが嫌だと言ったら、それはやめさせた方が良い。少なくとも小学一年生まではそれで良い」と隂山氏。

「嫌だというからやめさせていたら、勉強がダメになると思うかもしれません。しかし、『集中』するということは、子どものみならず人間を快適な気持ちにさせるものです。勉強が好きな子どもは、勉強が好きだと言います。先生や親を喜ばせるために言うのではなくて、本当に好きなのです」

小学校低学年は、勉強に時間をかけるほど成績は下がる?

よく親が「子どもの教育にかける時間がない、共働きで忙しいから家庭の教育なんてできない」と嘆く声を耳にする。

「私が監修している塾に、週1回、50分だけの授業をやるクラスがあります。最初はさすがに私も『こんな短時間では伸びるわけがない』と思っていたのですが、実際には伸びるのです! 短時間でも集中し、その集中をMAXまで持っていくことができれば、1週間に1度だけの授業でも子どもは伸びるのです!」

家庭で学習をする場合、特に幼少期の学習に関しては、絶対に長時間勉強させてはダメだと隂山氏は指摘する。小学校低学年では、勉強に時間をかけるほど成績は下がる傾向にあると言う。

「週に一度、長くても30~40分、時間が取れない場合には10~15分でも十分です。それに加えて、1日に5分ずつくらい親と子どもで集中して何かをやる癖をつける。読書、音読、宿題をより丁寧にやるのでも良いので、集中力が高まったものを下げないうちに、迅速にやる。すると時間は短くても、子どもの能力は上がります」

1日1回の集中するタイミング、本当のハイマックスの集中は一瞬だと言う。教育界で長年の経験を持つ隂山氏も、ここに気づいたのは最近のようだ。

集中力を身につけるには、ゲームよりもアウトドア!?

短時間の集中という意味では、ゲームも集中するのではないか。時間を区切ってゲームで集中させることもできるのだろうか。

「ゲームに集中すると、興味がゲームだけに行ってしまうからダメです。 ゲームはゲームの世界だけで終わってしまって、やがて中毒症状が出始めます。ステージクリアで一瞬の集中があって、脳の高機能化という意味では一時的にその目的が果たされるかもしれません。しかしだらだらと長時間するようになると、だらだら勉強することと同じように悪影響しか残さないのです」

しかしアウトドアなら、集中して遊んで『なんて夕日がきれいなんだろう』と思えば夕日について調べてみるだろう。読書であれば『この本すごく面白かった』と感じれば、次の別の本を探すかもしれない。そのように“学習の方向”に行動を転用していくことができるのだという。

大切なことは、短時間で楽しみながら、集中して勉強する習慣を身につけさせてあげること。親が長時間の勉強を強要して、子どもが「勉強嫌い」になることだけは避けなくてはならない。

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