【書くことは思考である!】家庭でできる思考力・表現力の育て方ー作文編

【書くことは思考である!】家庭でできる思考力・表現力の育て方ー作文編

2020年度から導入される新学習指導要領のキーワードでもある「思考力・判断力・表現力」。このうち、今回は「思考力」・「表現力」と「書く力」の関係、またその育て方について、小学校教育の第一人者で「隂山メソッド」によって子どもたちの学力向上を実現してきた隂山英男先生隂山氏のお話をご紹介します。

書くことは思考。子どもの将来に必要な力を育てる。

陰山氏は、書くことは思考であり、書くことによって、初めて本格的に脳は動くのだと話します。

「ノートをたくさん書いていた授業とノートの量が少なかった授業で、テストの成績が違ったというデータがあります」

ただ聞いているだけではなく、手を動かして書くことで集中力が高まり、その結果頭の中に知識や情報が入るということです。

また、子どもが将来世界と向き合った時には、書いて表現することがより大切だとも。

「国際的な学力とは、単に何かを覚えている・知っているというだけではなく、それらを活用して論理をくみ上げ、自分の考えをはっきりと言葉にし、それをもとに行動していくことが問われていくのです。そうした力は、しっかり書くことによって形成されると考えています。そして、書かれたことをまとめていくためには、スピーチのように、短時間で自分の思っていることをきちんと言葉にして表現できる力が大切です」

子どもの将来のために「書く力」は重要。しかし、「読み・書き・計算」は、子どもの学力向上に大切ということは遠い昔から言われ続けていることだが、書くこと、特に文章を書くということの能力は、いきなり練習を始めても簡単に向上するものではありません。

それでは、書くことの能力はどうすれば上がるのか、家庭でできる学習方法はあるのかを尋ねてみました。

家庭でできる、書く力を向上させる方法は?

書く力を家庭で向上させるためには、何をしたら良いのでしょう? 隂山氏がまず提案したのは、次のような方法。

「最初は会話ベースで良いのです。子どもに、自分が考えていることを話させて、それに対して親が『それはどうなの?これはどうなの?』と質問をしながら深めていきます。そして子どもが自分の言いたいことを整理できたら、『最初からもう一度分かるように話してごらん』と言ってあげるのです」

この会話ベースでのやりとりがきちんとできるようになったら、次は構成を考え、書かせてみます。

「自分の考えたことを書いて、推敲をして、主語から述語まで整える力はとても重要です。これを何度も繰り返していくうちに自然とまとまった作文が書けるようになり、さらに話した時にも主語と述語が一体化して、相手に考えを伝えられるようになるのです」

まずたくさん書く、そして整える。その順番を間違えないように!

隂山氏はさらに、子どもの書く力を向上させるためには「とにかくたくさん書く。できるだけ速く書く。それができてから、きれいにまとめること」が大切だと言います。

「最初からきれいに書かせようとすることは間違い。実はきれいに作文をするということは、かなり高度な能力が要求されることで、子どもは嫌になってしまう可能性があります。まず書き慣れること。書くことが苦にならない状態を作り出すことが大切なのです」

書く内容は何でも良い。毎日10行でもいいから作文を続けることが大切。しかしたとえ10行であっても、毎日書いていたら書くことがなくなってくることも。そこで陰山氏は、「うそ作文」を書けば良いのだと提唱します。

「うそ作文」とは、自分の想像したことを何でも自由に書くこと。自分が発想したことを何でもいいから自由に書いていいとなると、子どもは書くことを嫌がらないし、自然と作文を書くことに抵抗がなくなります。

「そしてこのうそ作文を書いた時は、親の反応が特に大切です。『どうしてこう思ったの? 面白いね!』などとコメントしてあげれば、子どもはきちんと相手に伝わったという嬉しさから、次はもっと上手に書こうと努力します。そして表現力もさらに磨かれていくでしょう」

書くことの副次的効果は、集中力が高まること!

書くということは、脳神経を活発に動かして行うこと。上記の「うそ作文」であっても、書いていれば脳は動き続けていて、最も集中力が高まる瞬間でもあります。それは教科書の文章を写すだけでもいいのです。

「特に小学校1~2年生の子どもにとっては、書くということは脳と指先のトレーニングになるのです。最初はなかなか思うように指先は動かず、そんなに長く書けるものではありませんが、とにかく速くたくさん書くことが大切です」

となると、小学校に入る前に、幼少期から指先をトレーニングすることも効果的な気もしてきますよね。でも文字をいきなり文字というのはハードルが高いはず。

「言葉に限らなくても、絵を描いているのでも構いません。絵を描くレベルが上がってきたら、何か心を込めて描かせてみればいい。すると書くことが楽しくなってくる。それは、楽しく文章を書くことにもつながっていくのです」


まとめ

いかがでしたでしょうか。書くことによる、思考力と表現力のトレーニング。子どもの将来のために、というと仰々しいかもしれませんが、まずは家でできることからはじめてみましょう!

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