バレーボールの未来を、もっとエキサイティングに/東京グレートベアーズ 野瀬将平選手 〜インタビュー企画「叶えるちから、伝えるちから」〜

バレーボールの未来を、もっとエキサイティングに/東京グレートベアーズ 野瀬将平選手 〜インタビュー企画「叶えるちから、伝えるちから」〜

各分野で活躍している方の子ども時代からの話を聞きながら、目標実現の原動力や自己の発信力のヒントを得るインタビュー企画「叶えるちから、伝えるちから」。

今回は、2022年6月に発足したVリーグの新チーム「東京グレートベアーズ」の野瀬将平選手。

イスラエルとフィンランドでプロバレーボールプレーヤーとしての経験を積んだ後、現在はプロ選手であると同時に、クラブの存在意義や挑戦していることをファンやバレーボール業界の外の社会に伝える「コミュニケーションマネージャー」という役割をも担っています。

現役バレーボール選手の中でも異彩を放つ彼にお話を訊きました。

 

 

プレーヤーとスポーツビジネス。両方やっているからこそ生み出せる価値をバレーボール界に還元したい。

選手としての目標はシンプルに「プロ選手として」Vリーグで試合に出て活躍することです。

海外でその厳しさは多少なりと学んだつもりで、それを日本に持ち帰って挑戦したかったというのもあるので。

バレーをやっているときの僕はもちろんですが、バレーにだけに集中していて……バレーって、本当に楽しいですよ。(野瀬選手・以下同)

 

東京グレートベアーズは、活動休止となったFC東京を株式会社ネイチャーラボが譲受し誕生したチームだ。実業団だったFC東京時代とは違い、選手もスタッフも、完全にプロの集団。

大企業のバレーボール部ではなく「株式会社グレートベアーズ」として自分たちで収益を上げて活動していくスポーツビジネスのプロチーム。

 

―プロ化されているサッカー(Jリーグ)やバスケットボール(Bリーグ)ではなく、いまだ実業団が多くプロ化していないバレーボール界でこういったチーム運営をするというのはとてもチャレンジングなことで、難しさを感じることも多いですがエキサイティング。

スポーツビジネスは僕のやりたいことの一つ。自分がバレーボールを通じてこれまでたくさんのものを得たので、選手としてもですが、それに加えビジネスの面でもバレーボール業界の発展に貢献したいという強い想いがあります。

 

東京グレートベアーズは基本理念に「バレーボールドリーム」を掲げる。人々が、プレーヤーとして、ビジネスで、あるいは地域活性などの様々な分野で、このチームを通してそれぞれの夢を叶えてほしいというチームの想いだ。

 

 

バレーボールをし続けたいから、まずその仕組みを作りたい。

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プロプレーヤーとコミュニケーションマネージャー双方の役割を担い、バレーボール業界全体に働きかける彼の原動力は、「バレーが楽しい」「バレーボールがなくなるのは嫌だ」という想い。

その想いに気づかされたのは、大学卒業後もプレーヤーを続けるか否かというターニングポイントで母親からある言葉をかけられたとき。

 

そのとき母に言われた「これまでずっとやってきたバレーボールがない人生で、あなたは上手くやっていける?」という言葉にハッとして。以降、この考え方は僕の行動のベースになっています。だから今回のチーム譲渡にも積極的に動けた。

業界全体に働きかける僕のことを「いい人」のように言ってくれる人もいますが、それよりも、バレーをし続けたいから、バレーに関わり続けたいからその仕組みをつくりたい、という想いの方が強いです。

 

 

「自分のことをよくわかってくれている」両親の言葉

そもそも、中学、高校、大学と進学する中で全国大会レベルの実績を残しながらバレーボールを続けてこられたのは、母だけでなく家族全員のサポートがあったから。

バレーボールをするために越境して中学に入学した頃から家族への感謝の気持ちは常にあり、大学進学とともに一人暮らしを始めてからそれは一層強くなった。

中でも父親は、福岡時代、自宅から離れた学校までの送り迎え、彼の身体のメンテナンスへの配慮、さらにはチーム全員の遠征の手配など積極的にサポートに関わった。

その献身的な姿勢は当時の監督やチームメイトにも評価され、「高校時代、もしかしてこの高校は、父親のサポートの力量欲しさに僕を入学させたんじゃないかと思ってましたね(笑)」と野瀬選手本人が冗談交じりに語るほど。

 

―積極的に関わってくれましたが、両親が僕に何かを強いたことはなく、いつでも「最終的には自分で決めて」という感じでした。

小学生の頃に練習がきついからやめたいと言うと「そうか、でも自分でやるって言ったしね……どうする?」と母に諭されたり、大人になってからは海外の試合を観に行った父に「お前も通用するかもしれないよ、一回ぐらいは行ってみれば?」と父に言われたり、強制ではなく自分で考えて判断したい、という僕の性格を本当によくわかってくれて声をかけてくれていたのかなと思いますね。

 

 

多くの子どもに「プロバレーボール選手になりたい!」と思ってほしい。

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バレーボールを続けたい想いから環境づくりに奔走し、チーム運営の他にも、選手のセカンドキャリア問題、若い選手の育成、普及活動など、様々な課題が見え始め、目の前の問題に一生懸命取り組む日々。
ふと立ち止まって自分がこの先どうなりたいかを考えたとき、浮かんだことがあった。

 

よく聞かれるんですが、僕自身がVリーグ機構のトップになりたいとか、クラブ経営のトップに立ちたいとか、そういうことはあまり意識していなくて。じゃあ自分の最終的な夢や目標は何だろうな、と思った時に、もし「将来プロバレーボール選手になりたい!」という子どもたちが増えたらとても幸せだなと思ったんです。

今やっている「最高に楽しくて素晴らしいスポーツ」を後世につなげていきたい。バレーボールをやっている子には、僕ら先輩が今よりもっとエキサイティングな舞台を用意してあげたいし、やってない子にもバレーボールという楽しいスポーツを知ってもらいたいという想いがあります。その気持ちがすべての行動に繋がっているのかなと。

 

インタビュー中、「バレーボールは楽しい」という言葉を幾度も繰り返した彼に、バレーボールの魅力を尋ねてみた。

 

―コンタクトスポーツと違って相手に邪魔されないので自分たちの精度がより求められますし、自分が触ったら他の誰かが触らないといけないので、互いのコミュニケーションがより重要なスポーツといえます。

ママさんバレーが普及しているのには、接触がないので比較的安全だからというのもありますが、コミュニケーションの面が大きいのでは。老若男女関係なくコミュニティ参加を目的に地域のクラブでバレーボールを始める、ということもよく耳にしますし、僕自身、バレーボールを通してたくさん友達ができて、その輪が海外にまでも繋がっていけました。

人と、世界と、楽しく繋がっていけるというバレーボールの魅力を広く知ってもらいたいですし、それをプロとしてやっている僕らの試合をぜひ見に来てもらいたいです。

 

<写真提供:東京グレートベアーズ>

 

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<野瀬将平選手 プロフィール>

1993年福岡県大刀洗町生まれ。7歳からバレーボールをはじめ、朝倉市立南陵中学校、東福岡高校、慶應義塾大学に進学。卒業後はFC東京に入団。4年プレーしたのちにイスラエルとフィンランドでプロ選手として契約。2022年6月より東京グレートベアーズの選手兼コミュニケーションマネージャー。ポジションはリベロ。プレーヤーとしてはもちろん、チームの渉外・広報やバレーボールの普及においても活動を網羅する、バレーボール界のみならずスポーツビジネス界大注目の選手。

 

<各公式情報>

◆東京グレートベアーズ
【HP】
https://tokyo-greatbears.com/
【twitter】
https://twitter.com/greatbears_vb
【instagram】
https://www.instagram.com/greatbears_vb/
【LINE】
https://lin.ee/dUCaF8r

◆野瀬将平選手
【twitter】
https://twitter.com/s_h_o_h_e_y_1
【instagram】
https://www.instagram.com/shooohey20/
【tiktok】
https://www.tiktok.com/@shohey_volley24 

 

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